終局のエニグマ
/J・P・ホーガン[著];小隅黎訳. - 東京 : 東京創元社,1989. - 初版 ; 文庫. - (上)ISBN4-488-66308-7 C0197/(下)ISBN4-488-66309-5 C0197
1987年に発表されたJ・P・ホーガンの長編小説です。舞台は2016年、アメリカ・ソ連(現・ロシア)間の冷戦がまだ続いていると言う設定です。
西側のSDIシステムにより核の優位さを失ったソ連はアジア各国の離反、東欧圏での反ソ潮流の進展により、崩壊の危機を迎えていますが、にもかかわらずソ連は平和利用のためだとして、2017年革命100周年記念日までにスペースコロニーを完成させようとします。
しかし西側ではこれを隠れ蓑として実際には巨大なX線レーザーが軌道上に配備されることを疑っており、2人のエージェントを送り込みます。
「星を継ぐもの」シリーズとはずいぶんと雰囲気が違うので途惑いました。KGBや強制収容所の描写などスパイ・サスペンスのようで、「?」と言う感じでしたが、お得意の科学的謎解き→どんでん返しは健在で、ころりと騙されました。
実際には本書が発表された5年後(1992年)にソ連は崩壊したのですが、あのまま冷戦が続いたとすればあながちフィクションでもなくなっていたかもしれません。恐ろしいことです。
ところで、ホーガン氏が5年前(2010年)に亡くなっていたのをはじめて知りました。まだ69歳だったと言うことで本当に惜しいことです。
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